アジア版オリンピックと言われるアジア競技大会2018がインドネシアのジャカルタで開催(8月18日~9月2日)され、連日熱戦が繰り広げられている。特に、競泳の池江璃花子選手の複数の金メダル獲得など、2年後の東京オリンピックに向け、幸先のよいニュースを耳にしていた。
そんななかで、またしても不祥事に見舞われてしまった。男子バスケットボール日本代表の4人の選手が日本の公式ユニフォームを着たまま選手村を出て、歓楽街で買春行為に及んだというニュースだ。本人らはすぐに代表認定を取り消され、20日に強制帰国。その夜には日本バスケットボール協会の三屋裕子会長らとともに記者会見に臨んだ。
国際大会に赴いた当該選手たちの軽はずみな行動に国民、オリンピック関係者は驚くとともに、本人たちも突然の苦境におどおどしていたのが印象的だった。
日の丸を背負っていようがいまいが、人間として買春は許せないという声も多く、もっともだと思うが、やはり自らの使命を自覚しない対応が問題を大きくしてしまったことは事実だ。
その後控えメンバーが3人しかいない状況でアジア大会を戦ったバスケ男子代表は準々決勝で敗退した。そして、8月29日に日本バスケットボール協会は、買春行為をした4選手に1年間公式試合への出場権を剥奪する処分を科すことを決めている。
日大アメフト問題に始まり、体操協会でも騒動が
母国開催である東京オリンピックを2年後に控えて、スポーツ界で不祥事が相次ぐ。
直近では体操の2016年リオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江選手が日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長などからパワハラの被害にあったと主張。協会側は8月30日に第三者委員会を設置して調査することを決めた。31日には、塚原光男副会長と女子強化本部長側が文書を発表し、選手に謝罪をしたものの、パワハラの指摘については反論をしている。
5月には日大アメフト部の悪質タックルが問題になった。監督やコーチの指示であったことが明らかになり、学長をはじめとする日大の対応のまずさも火に油を注いだ。日大が所属する関東学生アメフト連盟は指示を認定し、内田前監督と井上元コーチを除名。日大は今年度の公式戦の出場資格停止処分が下されている。
日大に至っては、8月9日に、日大応援リーダー部(競技チアリーディング)の女子部員が女性監督から暴言などのパワハラを受けており、それへの組織対応が不適切であったことも発覚している。
次に、日本ボクシング連盟の前会長、山根明氏をめぐる数々の不正の疑惑。アスリート助成金の不正流用や、78歳になる山根氏の独裁的体制など、12項目もの問題点が告発された。8月22日には連盟の理事は総辞職しており、第三者委員会のもと原因究明と今後の新体制構築に向けて動いている。
さらに、全日本剣道連盟における昇段審査における不正な金銭授受問題が8月17日に発覚。同連盟が統括している剣道、居合道、杖道(じょうどう)のうち、居合道の最高位の八段およびそれにつく称号である「範士」の昇段審査で、受験者から審査員に100万円単位の謝礼が渡されていたことも問題になった。
そこへきてのバスケ男子日本代表の歓楽街不祥事だった。不祥事の影響は限定的とみられるが、現在のバスケ男子日本代表は2020年の東京オリンピックに向けた開催国枠をまだ獲得していない状況だ。
そもそもスポーツは「健全な精神は健全な肉体に宿る」ということで、自らの存在意義を強調している場合が多いようにも思う。ここに問題はないのだろうか。この言葉はどこから来たのであろうか。
調べてみると、語源は古代ローマ時代の詩人ユウェナリス(Juvenalis)の『風刺詩集』第10編にある一節だった。
ラテン語で「Orandum est ut sit mens sana in corpore sano.」がその言葉だ。
読み方は「オーランドゥム・エスト・ウト・シト・メンス・サーナ・イン・コルポレ・サーノー」だ。
英語訳は「A sound mind in a sound body」とシンプルに訳されることがあり、それが「健全なる精神は健全なる身体に宿る」という日本語訳になっているようである。